M&Aについて M&A
M&Aとは
M&A(エムアンドエー)は英語のMergers(合併)and Acquisitions(買収)の略です。つまり、M&Aとは、複数の企業を一つの企業に統合したり(合併)、ある企業が他の企業の株式や事業を買い取ったりする事(買収)をいいます。
M&Aを行う目的
全国の経営者年齢の分布をみると、1995年の経営者年齢のピークが47歳であったのに対し、2015年は66歳となっており、経営者年齢の高齢化が進んでいます。一方で後継者がいない会社はその半数もあります。 今後5年で60万社の中小企業が後継者不足により廃業するものと試算されています。(中小企業庁) 後継者不足の中小企業にとって、M&Aは出口戦略の有力な選択肢となります。廃業することとなれば、従業員は路頭に迷い、積み上げてきた技術ノウハウは途絶え、売上先は発注先を失い、外注先は仕事を失います。会社を清算しても経営者には資産から負債を引いた清算金しか残りません。個人保証しているので、借金だけが残る場合もあります。しかし、M&Aで事業を他社に引き継げば、従業員は継続勤務でき、譲受会社の規定に合わせて待遇も上がるケースがあります。積み上げてきた技術は生かされます。売上先、外注先も安心します。社名も残ります。更に、経営者は営業権(のれん)を付加された多額のキャッシュが入ります。
M&Aのメリット・デメリット
- 個人保証から開放
- 優秀な後継者を選択可能
- 後継者不在の解消
- 創業者利潤を
最大限に得られやすい
- 費用がかかる
- 数ヶ月から数年、
引き継ぎ期間を希望されることもある
など様々あります。
M&A市場の動向
M&Aは大企業だけの話ではありません。一般的に譲渡価額1億円未満のM&Aは「スモールM&Aと言われており、このスモールM&Aはかつてないほど活況です。
例えば、M&A業界では有名な中小企業M&Aマッチングサイトでは、年間300社以上成約しており、同様のM&Aサービスを展開しているウェブサイトも年々増加傾向にあります。
2019年から2020年の1年間でもスモールM&Aに特化した仲介会社が全国で数えきれないほど増加しています。
M&Aが身近になってきた理由については、売却側/買収側にそれぞれで以下の理由が挙げられます。
- [ 売却側 ]
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経営者の高齢化および後継者不在
東京商工リサーチの2017年2月調査によると、経営者の平均年齢は61.19歳と、年々高齢化が進んでおります。以前は、親族内承継が当たり前でしたが、ご子息ご子女がいない、いても継いでくれない・継がせないという経営者が増えており、会社を譲渡せざるを得ないケースが増えています。
M&Aのイメージ向上
「M&A=身売り・乗っ取り」から、「M&A=経営手段」というイメージへ変化してきています。大手資本傘下に入ることで、事業拡大を実現できるとともに、自社株式の現金化・代表連帯保証の解除・従業員の雇用維持が可能であり、会社を売却できることが一つのステータスと考えられるようになってきています。
- [ 買収側 ]
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法律改正の後押し
M&Aを行なうにあたり、法や税務上の判断が曖昧であった部分の法整備が進み、M&Aを手掛けやすくなりました。
環境変化のスピード加速および資金調達
ITの発達により、環境変化のスピードが加速しています。こうした環境下において、自社でゼロから事業を立ち上げるのではなく、M&Aによって時間を買うことを経営戦略として考える経営者が増えております。また、上場企業・未上場企業共に実質無借金企業が増加傾向にあること及びマイナス金利であることにより、金融機関がM&A資金の貸出を積極的に行ってくれる環境下にあります。
これから先、 中小企業の事業継承 として拡大が見込まれる市場
日本において生産人口(15歳~64歳)は年々減少しています。生産人口の減少に伴いどの業種においても人材不足に陥ることになります。現に運送業や建設業などではすでに人材不足が叫ばれています。中小企業において人材不足は経営難に直結する問題であり、人材不足が原因で第三者へ経営権を譲渡する中小企業が増加すると予想されます。
1.業界の寡占化によるM&Aの増加
例えば調剤薬局業界においては、大手企業が市場シェア拡大のためM&Aが活用したことでM&Aの件数が急増しました。調剤薬局業界では、トップ企業でも市場シェアが低く、シェア拡大の余地が存分にあったことが要因です。調剤薬局業界以外においても今後寡占化が進む業界ではM&Aが頻繁に行われることが予想されます。
2.ベンチャー企業のM&Aの増加
リーマンショックの影響で一時期落ち込んでいたIPOの件数が徐々に回復してきています。日本においてベンチャー企業のEXITの手段はIPOがまずイメージされますが、米国においてはEXITの手段としてM&Aが用いられることが圧倒的に多いです。日本のベンチャー企業でもEXITとしてM&Aを用いる企業が増えてきており、一般的な企業価値算定結果を遥かに上回る金額でのM&Aの実例も見受けられます。今後は日本でもEXITの手段としてM&Aが用いられるケースが増加すると予想されます。