事業拡大のリスクは、実際に存在します。リスクがなければ、誰もがビジネスを成長されることができます。
リスクは、オーナー、人的リソース、商品、市場、競争相手など、多くの分野にそれぞれ存在します。
リスクを正しく把握することで、対応策、戦略を練り上げ、同じ課題に直面した事例から学べると、事業拡大をおこなえる自信にもなります。
今回は、事業拡大にともなうリスクと4つの事業拡大にかかわる戦略について解説します。
事業拡大のリスクとは?
リスクなしに事業拡大は不可能です。
ここでは、事業拡大にともなうリスクについてご紹介します。
1、問題なく成長が続くとは限らない
事業拡大、ビジネスの成長は永久に続くとは限りません。むしろ苦戦することの方が多いでしょう。
そんな時、優秀な人材の確保が何よりも重要となってきます。
2、個人的なリスク
ビジネスを拡大しようと考えたとき、オーナー自身の健康や財政に影響を与えることがあります。
ビジネスを成長させたいという圧力から抜け出そうとすると、誤った試みとなります。定期的な運動をし、適切に食べ、良い健康状態を維持しましょう。
適切なビジネスパートナーを選ぶことは非常に重要です。
3、顧客とのつながりを失う可能性
もう一つのリスクは、顧客との信頼関係を失うことです。高品質な商品やサービスがなければ、あらゆる信頼を失います。
顧客からのお問い合わせや苦情への迅速な対応をおこなわなければ、信頼を失墜させることにつながります。これらは最も一般的な不満の一つです。
4、成長にかかるコスト
継続的な事業拡大には、コストがかかります。大きな成長には研究開発などの先行投資が必要ですし、新しい人材の確保、研修なども必須です。マーケティンや販売への費用の捻出も必須でしょう。
事業拡大とはどんなことをすればいいのか?
事業拡大の方向性は、既存事業の拡大と新規事業への進出の2つに大きく分かれます。
既存事業の拡大には、すでにある事業ノウハウや強みをさらに磨き、いかに生産性を高め、仕入れ力を強化、マーケティング全般を見直し、利益性を高めるかが、戦略見直しのポイントとなります。
新規事業への進出は、これまで取り組んでこなかった事業を新しく手掛けるという方向性です。
では、事業拡大とはどのような戦略を持って、取り組めばいいのでしょうか。
事業拡大の4つの戦略
事業拡大においては、アンゾフの成長マトリクスという、4つの戦略をマトリクス図に置いたものが挙げられます。
事業の拡大・成長を図る際に活用されるマトリクスのことを指します。
市場 | ||
製品 | 市場浸透 | 新市場開拓 |
新製品開発 | 多角化 |
このマトリクスでは、企業が将来どのような製品や方向性を持てるか?を表しています。
既存の製品を販売し続けていくべきか。新しい市場に出るべきか。成長戦略の方向性を考慮する時に役立つものです。
アンゾフの成長マトリクスは2つの軸で構成されています。
・製品
現在、提供している製品と、将来提供した新製品。
・市場
現在、進出している市場と、将来どの市場に製品を進出したいか。
4つの成長戦略
これに基づいて、4つの成長戦略があります。主な内容を次のとおりです。
市場浸透
この戦略は、既存の市場で既存の製品やサービスの売上を増やし、それによって市場シェアを伸ばすというものです。
この戦略をおこなうために、競合他社から顧客をうばったり、リピート率を増やしために、囲い込み戦略を立案するなどをおこないます。
これは、値上げやキャンペーン、会員制度などによって達成できます。この戦略をベースにM&Aを考えるなら、ライバル社の買収などとなります。
新市場開拓
この戦略は、これまで未開拓であった市場に既存の製品を投入し、売上を増やすことです。
この戦略は、さまざまな顧客セグメントによって実現可能です。一番分かりやすいのは、国内の市場から海外の市場に進出することです。
ゼロから海外の販売網を構築するには時間を要します。
そこで、すでに海外に販売網を持つ企業とパートナーシップ契約を結んだり、もしくは企業M&Aなど企業買収をおこなうのです。これによって短期間で結果を出す可能性があります。
新製品開発
この戦略は、既存の市場に対して新規の製品を投入する戦略です。
新製品開発は、現在の顧客ニーズなどに合わせて、売上を増やすことを目的として製品を開発することにあります。
ゼロから製品を自社開発する際、自社としてどうしても後発の参入となります。後発参入で既存の市場でシェアを撮るためには、市場にある先行する他社製品と比較して、差別化、独自化できる製品が投入できるか?にかかっています。
新製品については、次のような方法で入手が可能です。
研究開発への投資、他社の製品を製造する権利の取得、他社製品のブランドや商標の入手などです。
多様化
多角化は最もリスクのある戦略です。
それゆえ慎重に計画を策定する必要があります。
基本的に新規の市場に対して新製品を投入するので、リスク管理、つまりリスクマネジメントが重要となります。
この多角化については、4つのパターンに分けることができます。
水平的多角化
同じカテゴリで事業を拡大するのが、水平的多角化です。
たとえば、ノートを売っている会社が、ペンを売り出す。清涼飲料水のメーカーが、ビールを販売し始めたりと。
大きなカテゴリでは同じ分野に入る多角化のことです。4つのパターンの中で、最もシナジー効果の高い戦略と言えます。
アンゾフの市場浸透や新製品開発に近い多角化戦略と言えます。
垂直的多角化
製品の製造事業だけでなく、部品製造の川上や販売代理店などの川下の事業をおこなうのが、垂直的多角化です。
たとえば、住宅リフォーム会社が、塗料や他の建築資材を売り始めると垂直的多角化という戦略になります。
車の製造メーカーが、部品製造や販売代理店の事業をおこなうことも垂直的多角化です。
集中的多角化
関連のない製品に見えるが、実は技術やビジネスモデルとして類似するものを使った新しい関連製品で事業を拡大するのが、集中的多角化です。
コングロマリット的多角化
現在の製品とは全く関連のない新製品やサービスで新規事業をおこなうのが、コングロマリット的多角化です。
この多角化は、全く新しい顧客へのアピールにもなるので、新市場へ進出することによるハイリターンが期待できます。
大企業によく用いられますが、シナジー効果が期待できない場合、単一事業としてはリスクが非常に高くなります。
しかしながら、経営全体で見た場合、業種や市場が異なる複数の事業を経営するため、リスク分散が狙える戦略です。
新規事業への進出は、M&Aでやるか?
どの戦略でおこなうにせよ、新規事業への進出には、さまざまな方法があります。
自社でおこなう方法もあれば、外部から調達してくる方法、つまりM&Aでおこなう方法もあります。
前者は、ゼロから自社で新規事業を立ち上げていくものです。自社で新規事業を立ち上げる場合、さまざまな作業、ノウハウ、コストが必要となります。
一方、M&Aによって外部から調達する方法は、すでに備わっている会社から調達ができるため、新規事業進出への時間やコスト短縮が期待できます。
まとめ
今回は、事業拡大にともなうリスクと4つの事業拡大にかかわる戦略について解説しました。
ビジネスの成長戦略を策定していく中で、4つの戦略や多角化戦略とそのリスクマネジメントは欠かせません。
また、それらを実際におこなう際、M&Aという手法も考慮すべきでしょう。
M&Aによって、人的リソースやノウハウの調達に時間をかけすぎることなく、目的を達成しやすくなるからです。
まずは、じっくりと検討してみましょう。