赤字が続くと債務超過を招きやすくなります。それは倒産ではありませんが、非常にまずい状況に陥っていることも事実です。
今回は、そんな債務超過をむかえた企業の対処方法、会社再生法や会社売却などを解説します。
債務超過と赤字の違いは?
債務超過は、貸借対照表上で、負債が資産を上回ることを指します。赤字は、収入に対して支出が多いケースを指します。
たとえば、当期は収益が費用より50万円多いとします。すると、当期は50万円の赤字となります。
しかし、50万円の赤字を出したからと言って、すぐに倒産するとはいえません。
つまり、債務超過と赤字はイコールではありません。
赤字決算になったとしても債務超過に陥っていないケースが多々あります。
赤字経営がそのまま続くと、資本や資産が無くなっていき、最終的に債務超過に陥ってしまう可能性があります。
キャッシューフローを適切に管理すれば、一時的な赤字は財務状況によっては乗り切れます。
赤字でなくても倒産する場合もある
赤字はすぐに倒産するわけではないものの、赤字でなくても倒産することはあります。それが黒字倒産というものです。
倒産とは、債務が支払えず、事業の継続ができなくなることを指します。
黒字で倒産とは、損益が黒字でもキャッシュが不足して支払いができず、事業が継続できなくなることを意味します。
儲けよりも返済の方が多い売掛金の入金サイトよりも買掛金の支払いサイトのほうが短い手形や売掛金ばかりでキャッシュがない。
黒字倒産は、これらの原因により起こります。
定期的に資産から負債を引いてみる
債務超過の原因は、経営管理を正しくチェックすることで見つけられます。
少しでも債務超過の傾向をつかむためには、定期的に資産から負債を引いて計算してみましょう。
定期的にチェックをおこなうタイミングとして下のようなタイミングがあります。
・大きな借金が発生した前後
・資産の出入りが激しかった時期の前後
・土地や有価証券の時価算出
債務超過は、毎日の経営状態のチェックが非常に有効です。
債務超過の解消方法は?
債務超過から抜け出せていない企業が、過去10年間で約30%前後あるというデータがあります。
下の記事では、債務超過になってしまった時の解消方法を掲載しています。
https://just-ma.jp/?p=1988
自助努力だけで債務超過を解消できない場合は、会社再生法を適用するという方法があります。
会社再生法とは、事業を廃止させずに経営を再建するための法律です。
裁判所の許可のもと、膨らんだ債務を減らすことができます。会社再生法には、民事再生法と会社更生法の2つがあります。
民事再生法
民事再生法は、個人や法人全般が対象の法律です。経営陣はそのままで再生を進めていけます。
会社更生法
会社更生法は、株式会社のみが対象の法律です。経営陣は全員退任となり、裁判所が選任した管財人によって再建が進められていきます。
これらの方法は、事業を存続させるための方法です。社会的な信用がなくなっても事業を存続させたいという場合は、これら2つの会社再生法を検討してみましょう。
債務超過の会社を売却できる?
赤字で債務超過の会社は売却できる可能性があります。この場合、どのような方法があるのでしょうか。
具体的には、下の4つがあります。
・株式譲渡
・事業譲渡
・会社分割
・合併
債務超過の会社を売却した場合のメリット、デメリットはどんなものがあるのでしょうか。
債務超過の会社を売却するメリット
メリットは、3つあります。
売却益が手に入る
シナジー効果が出る
従業員の雇用が維持される
債務超過の会社を売却するメリットとして、売却益によって負債をヘラ得たり、シナジー効果が得られれば、売上や収益の改善が見込めるでしょう。
3つ目のメリットとして、従業員の雇用が維持されます。これで社員たちを解雇せずに、新しい経営者に事業を託すことも可能です。
債務超過の会社を売却するデメリット
債務超過の会社を売約するデメリットとは、つぎの3つです。
競業の禁止
従業員の雇用環境が変わる
買い手が見つからない
事業譲渡の場合、売り手企業は同じ事業を20年間、競業禁止を守る必要があります。
また、従業員の雇用環境が変わることも避けられませんし、もちろん買い手が見つからないこともあります。
債務超過企業とのれんの関係性
のれんは見えない資産と言えます。M&Aを考える時、ブランド力という目に見えない資産、いわゆる「のれん」を無形固定資産として、貸借対照表に計上します。
のれんは、買収金額から純資産額を引いた額で算出できます。
まとめ
債務超過を過度に恐れる必要はありませんが、赤字が続くと焦ってくるのも避けられないでしょう。
ぜひ債務超過への正しい対処方法を理解して冷静に安定した経営をおこなっていけるよう参考になれば幸いです。