今回は、中小企業庁が推進する事業承継に関する記事になります。最近は地方の中小企業における後継者不足や事業承継に関するニーズの高まり、M&Aのマッチングプラットフォームの発達により、中小企業に関する中小規模のM&Aは増加傾向にあります。最近では中小企業庁や経済産業省が主導して、地方の中小企業の後継者不足を解消するため、中小M&Aハンドブックを2020年9月に作成しています。
ここでは、中小企業のM&Aに密接なかかわりを持っている、中小企業庁のガイドラインやM&Aのマッチングプラットフォームを利用した事業譲渡やM&Aに関する内容を簡単に解説していきます。
中小規模M&Aの規模感
中小企業のM&Aでは、自社の成長に必要な資産や企業を買収したいと考えている経営者や自営業の方のみならず、後継者不足に悩む地方の中小企業の経営者が相談可能なM&Aの仲介のプロフェッショナルやマッチングプラットフォームがあります。
企業や事業を買収していくことを考えていなくても、不採算事業の整理や事業承継のニーズに伴い自社の事業や会社そのものを売却したいと考えている人も、売却先や買手候補を探すことができます。
中小規模(一般的にはスモール・ミッドキャップと言われる)、M&Aマーケットが活況を呈している理由としては、カネ余りの状況もありますが、地方経済の活性化を考え、各地域で地銀などが積極的に地方の中小企業のM&Aをサポートしてきているということもあります。また最近はプライベートエクイティファンドなどが台頭してきており、企業の成長や事業承継のパートナーであることがだんだん世間でも認識され始めています。
経営者の高齢化や後継者不足で、優良な企業が解散や清算になってしまうことは経済的に大きな損失ですし、世界でも通用する技術や製品、サービスを提供している企業は沢山あり中小企業のM&Aは非常に可能性が大きいフィールドです。中小企業のM&Aは企業価値でいうと数千万円から数十億円、大きくて百億円の単位になることが多いです。このサイズの案件は大手証券会社や投資銀行が関与せず、国内地方銀行のM&Aチームや、M&Aの仲介のプロフェッショナルが活躍する分野になります。大手投資銀行は高額なフィーが必要になるので、少数精鋭で親身になってオーナー経営者や事業を経営している社長にアドバイスをしてくれるのは仲介のプロフェッショナルでしょう。
中小M&Aハンドブックとは
中小M&Aハンドブックとは、後継者不在の中小企業・小規模事業者(以下「中小企業」といいます。)を対象とするM&A(中小 M&A)の当事者となる売り手の中小企業や、中小 M&A をサポートする各種支援機関の手引き・指針となるものです。
うちの会社は小さいし、M&Aなんて無理だ・・と思う方もいるかもしれませんが実際には小規模企業や債務超過企業でも、買い手が事業の価値を認めるケースがあります。「自社の事業を譲り受けてくれるような買い手はいないだろう」と考え、M&A を検討すらしないことも多いと思われますが、実は様々な要素が評価の対象になります。例をあげますと売り手の財務状況、事業規模や不動産、高い技術力や優良な取引先・商流、優秀な従業員、地域内・業界内における知名度・ブランド・信用、業歴、業界内のシェア、店舗網、知的財産権(特許権等)やノウハウ、事業分野の将来性などです。
実際に相談する際には身近な会計事務所や税理士事務所、M&Aの仲介のプロフェッショナルに相談するのが賢明ですが、その際にいくつかの書類を提出する必要があります。具体的には、直近3年分の「税務申告書」「決算書(損益計算書・貸借対照表を含む。)」「勘定科目内訳明細書」の写しで十分ですが、自社のウェブサイトや事業紹介をしているパンフレットなどがありますと、なお伝わりやすいです。
M&Aによる事業譲渡や売却にあたっては、引退後のビジョンや希望条件、何を譲れるのか、何を譲れないのか意思を固めておきましょう。身近な支援機関に相談して、M&Aの実行にあたり支障が生じないよう株式や事業用資産の整理も可能な限り進めていきましょう。
プロフェッショナルや専門家に相談する際は、秘密保持契約を締結し、関係者以外にはM&Aを検討している事実が広まらないようにしましょう。特に大事なのが、仲介とFA(ファイナンシャルアドバイザー)の違いです。売り手・買い手の双方から受任する仲介者と、売り手・買い手いずれかのみから受任する FA の違いを理解しているか、その上で、本件では仲介者と FA のいずれに該当するかを確認したかは認識次第でコミュニケーションに間違いを生む可能性があるので注意しましょう。特に仲介者の場合は、売り手・買い手の双方に対し手数料を請求することが通常です。手数料はM&Aにおいては売り手も支払うものですので、手数料はどのような基準で算定し、どのタイミングで支払う必要があるのか、また、最低手数料は設けられているのかは明確にしましょう。例を挙げると、本件では、着手金・月額報酬・中間金は請求せず、成功報酬のみ請求する。成功報酬額は純資産額を基準に算定し、○○円未満の場合には最低手数料○○円を請求する、というようになっていれば、社内の関係者内でその認識を合わせる必要があります。
M&A 専門業者の手数料は、着手金、月額報酬、中間金、成功報酬の組み合わせで構成されるのが一般的です。着手金:主に契約締結時に発生、月額報酬:主に月ごとに定期的に定額で発生、中間金:基本合意締結時など、案件完了前の一定の時点に発生、成功報酬:主にクロージング時など、案件完了時に発生するなど報酬の性質を理解しておくことが肝要、と中小M&Aハンドブックに記載されています。
実際には、事業引継ぎ支援センターや日本弁護士連合、身近に付き合いある地方銀行やメガバンクに相談するのが良いでしょう。
跡取りの探し方
中小企業の経営者の跡取りは実際にどのように進めていけばいいでしょうか。既に創業家として自社を経営されている方であれば、親戚や知り合いを頼って連れてくることも可能でしょうが、実際には非常に手間がかかる作業であることが想定されます。そのため、自分のリソースのみならず、外部のリソースやプロフェッショナルを交え効率的に探すことが重要になります。
外部から経営者を紹介してもらうには、普段懇意にしている会計事務所、税理士事務所、法律事務所もしくは、M&Aのプロフェッショナルである仲介業のコネクションを利用しましょう。特に自社の事業や製品・サービスなどの特徴から判断して、関連する職歴を歩んでいる人や、大企業やプロフェッショナルファームでのマネジメントの知見がある人を紹介してもらい、かつ人柄や社風にマッチすることを重視して探すのが最適と思われます
プライベートエクイティファンドを活用する方法
もう一つ、中小規模のM&Aの後継者の成り手として、プライベートエクイティファンドがあります。プライベートエクイティファンドとは未上場会社やリストラやカーブアウトに伴い切り出された大企業の一部門に対して投資し、3-5年の投資期間を通じて企業価値を向上し、IPOもしくは第3者に売却することを目的にしています。企業価値の向上に際しては、プライベートエクイティファンドのプロフェッショナルが投資先の企業に常駐ないし、役員として経営に関与して行くことが多いです。実際に中小サイズのプライベートエクイティファンドは最近数を増やしている特徴があります。
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