事業拡大を試みようとした時、成功する場合もあれば、失敗する例もあります。これは、事業拡大に踏み切る際に、リスクを持って行動すれば、つきまとうことです。事業拡大には、慎重でいて、緻密な戦略と戦術が必要なのです。
今回は、事業拡大を行っていくにあたって、読みが甘かったり戦略が誤っていたりしたための失敗例をご紹介します。
拡大路線に踏み切った失敗例
事業拡大において拡大を急ぐあまり、失敗する場合があります。A社という薬品メーカーの事例では、経営者の甘い判断のため拡大路線に進んだものの、計画していた効果が上がらず、損失が大きくなり補填できずに民事再生に踏み切った事例があります。
この場合の原因は?
原因は、関連会社との経営統合でした。この統合によって業績の悪かった状況を打開しようと経営者は考えました。
しかし、そうは上手く行かなかったのです。
統合による費用負担が思ったより大きく、収益を上げるまで会社自体が持たず、民事再生に踏み切る形となりました。
経営統合に際して、社内では社長に反対意見を言えるほどの部下がおらず、いわゆるワンマン社長であったことも原因の一つと言えるでしょう。
異業種に進出、シナジー効果を得られず失敗した事例
B社は、IT企業として特定分野において業界ナンバーワンの実績を誇る会社でした。その技術によって、非常に多くの大手企業、官公庁から高い評価を得ていました。
しかし、全く畑違いの食品製造事業に参入するため、多額の資金を投下し、ゼロから事業を立ち上げました。結果、資金繰りが悪化、最後は倒産の憂き目に合いました。
この場合の原因は?
B社が失敗した原因は、全くノウハウのない業界へ多額の資金を投下し、ゼロから事業を立ち上げて、参入しようとしたことです。また、経営陣が企業再建に関する知識がなかったため、銀行などの債権者に対して信用不安を招き、倒産させてしまいました。
人的リソース不足で失敗した事例
C社は、飲食店事業で店舗拡大をおこないましたが、無理なフランチャイズ制度によって経営破綻を起こしてしまいました。
この場合の原因は?
フランチャイズ経営の場合、人材教育が必須です。しかし、店舗数にこだわるあまり、猛烈な出店ペースを維持しようとしました。そのため人材教育が追いつかず、人手不足となり、客離れを起こしました。客離れは、売上ダウンにつながり、最終的には経営破綻となりました。
事業拡大はできるだけリスクを避ける
事業拡大は、さまざまな方法があります。その中で、大きくわかえると自前で立ち上げるか、外部から調達してくるかの2種類に分けられると思います。
自社でゼロから立ち上げた場合、異業種であればあるほど、非常に大きなリスクを伴います。
一方、外部から調達してくるものであれば、費用や時間を最小限することができます。
たとえば、M&Aによって事業拡大をする場合、商品をゼロから開発する必要がないことや、市場に対する知識や情報なども即座に手に入ることがあります。そのため新規で事業参入するにも時間や費用を大幅に短縮することが可能です。
ゼロから事業拡大する場合は、さまざまなリスクがある
新規で事業をはじめるには、さまざまな知識や作業が必要です。市場に関する情報、自社商品、営業組織、商流や物流などをすべてゼロから用意しなければいけません。
それらを構築するためには、それに見合う資金と時間、人的リソースとノウハウが求められます。また、上手く用意できたころには、市場が縮小していることもあり、非常にリスクのある方法と言えるでしょう。
事業拡大を失敗しないためには?
事業拡大をするにはリスクがともないます。リスクを最小限にするために、効果的な計画の策定が不可欠です。その計画は、誰がどんな内容を作るのか?がとても重要です。
事業計画を作成する
リスクを管理し、事業拡大に失敗するためには、事業計画の作成が必要です。この事業計画というのは、社長が作った社員へのノルマのための計画ではありません。社員へのノルマは、その計画には根拠がないため、計画通り遂行するとは思えません。ひいては組織が疲弊しかねません。
事業計画には、数値計画とともにリスク分析をおこないます。数値計画は、これまで考えた戦略をもとに損益を掲載し、戦略と数値にギャップが生まれないように考えていきます。
リスクを管理する
リスク分析は、事業をおこなう上で発生する可能性がある事柄を拾い上げ、それらについて対応策を検討しておきます。すべてのリスクを対応することは不可能ですが、本当に必要な取るべき対応を整理しておくことで、発生した場合の被害を計算することで事業拡大すべきかどうかも含めて策定できます。
まとめ
今回は、事業拡大にともなう失敗例をご紹介しました。
事業拡大は経営社が決める選択肢の一つですが、必ずしも選ぶ必要はありません。リスクを計算しながら、あえてやらないという選択肢も立派な選択肢の一つです。
また、ここでご紹介した事業拡大の内容は、あくまで一部、一例にすぎません。事業拡大にあたっては、市場の分析、戦略の策定など分析や調査を怠らないように専門家とも相談しながら進めることが最善でしょう。