今回は会社解散ついての記事になります。会社の解散は、会社の売却や、会社分割などの組織再編上の行為と異なり事業を成長・運営させるための組織的な行為というよりは、会社をたたむというややネガティブな側面を有している点に留意する必要があります。
会社解散については、定義や、どのような時にそのような手続きが要求されるのか、ということを含めて基礎的な内容を中心に記載していきたいと思います。
会社解散とは
会社解散の定義を確認すると、簡単にいうと、会社の事業をやめ、その後事業遂行・遂行を行わないことを言います。会社の事業をストップすることで、その次のステップである会社清算、そして法人格の消滅という手続に進むことができます。
なお、会社の解散事由については法律、すなわち会社法で詳細に定められています。具体的な条件は以下に記載されていますが、当該条件に合致しない限り、会社の解散は出来ないことになっています。
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散事由の発生
- 株主総会の決議
- 合併により会社が消滅する場合
- 破産手続開始の決定
- 裁判所による解散命令
- 休眠会社のみなし解散の制度
以下では、上記で紹介した解散事由について簡単に説明していきたいと思います。
定款で定めた存続期間の満了
定款とは、会社の運営・活動目的や会社の社員など構成員含めた組織・会社を経営する際の基本的事項を記したものです。定款は会社運営の基礎になる重要な規則で、分かりやすくいえば、会社にとっての憲法になります。
なお、定款で定める事項に会社の存続期間を予め記載・明記している企業は非常にレアであるといえ、解散事由としてこれが当てはまるケースはほとんどないと考えられます。
定款で定めた解散事由の発生
定款の中で解散事由を定めているのでは非常にまれなものと推察されます。定めている可能性としてはそもそもの事業内容が有限である事業や、いずれかのタイミングで会社をたたむことを想定していることが考えられます。いずれにしても上述の「定款で定めた存続期間の満了」と共に会社の解散事由としては実務上はなかなか見られないものと思われます。
株主総会での決議
株主総会によって会社の解散が決議されると、当該会社は解散しなければならないことになっています。株主総会決議による会社解散は、解散事由の中で比較的メジャーなものと考えられます。会社解散に関する株主総会決議には、株主総会の特別決議が必要になります。
株主総会の特別決議とは、主に会社の根本にかかわる重要事項を決議する機関決定であり、具体的な要件は会社法309条2項で定められています。具体的には、定足数は議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主の出席、および株主総会特別決議の議決要件は出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成が要求されます。
合併により会社が消滅する場合
M&Aなどの組織再編行為にともなう吸収合併や新設合併などにより、合併によって消滅する会社は会社解散の手続きを行わなければならないことになっています。
このようなM&A・合併による場合は、会社を解散をするだけでなく、解散する会社の権利や義務を包括的に存続会社に承継する手続も必要になります。合併は日本の会社法上、消滅会社の資産・負債を存続会社または新設会社に包括的に承継することが定められているので、このような事由で会社が解散することになります。
破産手続開始の決定
会社の貸借対照表に計上されている負債が大きくなり、事業の継続、または経営が困難になった場合は、裁判所に対し破産の申立をすることになります。このような申し立てが裁判所に受理されると、破産手続の開始決定が行われます。ここでは裁判所による監督のもと、一定の基準に基づき選定された破産管財人(弁護士や会計士など)によって会社解散の手続きが行わることになります。
裁判所による解散命令
会社が反社会的な目的や不法な目的で設立される、もしくは社員等の違法行為が繰り返し行われた場合は、裁判所により会社に対して解散命令をくだすことができます。裁判所により解散命令が下された後の手続自体は基本的に普通の解散・清算と同じですが、このような事例は珍しいでしょう。
休眠会社のみなし解散の制度
会社法によれば12年以上登記がされていない株式会社、または5年以上登記がされていない場合は管轄の登記所から事業廃止してない旨の届出を行うように依頼される通知が行われます。登記所からの通知を受けたにも関わらず企業・会社側から一切の届出がない場合は、会社法に基づき「みなし解散」の登記がなされ会社が解散したものとされます。ただしみなし解散後の3年以内であれば、会社法に定める所定の手続を踏むことで会社の事業を今まで通り継続することが可能です。
会社解散で多い事由
さきほど説明した通り、会社の解散事由で最も多いものは、株主総会の特別決議によるものがあります。では具体的に、どのような経緯や理由で会社解散もやむなしという結論が下されるのでしょうか。実際に多いのは業績不振や、経営環境の著しい変化で過去の設備投資の失敗が明らかになること、借入金などの有利子負債の負担がふくらみ返済ができなくなるということが挙げられます。政府が出している中小企業白書でも、年々中小企業の解散や倒産が増えてきているということが明らかになっています。業績悪化や財務状況の著しい悪化以外にも、後継者不足や、承継ができないなどの理由で、解散に追い込まれる地方の中小企業は多くなっています。
会社解散の際の清算手続き
解散の意思決定を会社法上適性に実施したとは、会社を清算し法人格を消滅させる手続きに進めていくことになります。会社の清算では、会社の財産(建物や機械設備、備品などの固定資産など、貸借対照表に計上されている資産項目)を換金し分配する手続をいいます。(残余財産分配請求権は会社の株主や持分所有者に認められている権利です)
なお売掛金や受取手形など会社の第三者に対する債権が貸借対照表に計上されている場合はそれをまず回収します。また、借入金や仕入れ業者に対する仕入代金、従業員に対する賃金などの債務がある場合は返済・弁済する必要があります。
なお、実務上は資産の時価を把握するために不動産の時価を確認する、資産の含み益があり現金化できないかどうかを資産査定の手続きを通じて行っていくことになります。
なお、会社として財政状態が健全でない場合、すなわち債務超過の場合は通常の手続きは踏めないので留意する必要があります
債務超過の場合の留意点
会社が債務超過により存続できない場合は、解散して清算手続きを開始するという流れができない点に注意しましょう。このような場合は破産手続きもしくは特別清算の手続きが必要です。
債務超過では、まずは弁護士に相談し手続きを遅滞なく進めていくことが重要です。基本的には必要書類を準備して、裁判所に破産の申し立てを行い、債権者集会で経緯を説明し配当などの分配を行うことが重要になります。
M&A仲介のプロフェッショナルとの協働の仕方
上記のように会社の解散は、自分が意図したことのない理由でも起こりうるので、自分が経営している会社をたたみたくなく、将来的に存続させる意思がある場合は、M&Aのプロフェッショナルである仲介会社の方にコンタクトをし、なんとか存続できないか相談してみると良いでしょう。やむを得ず、解散をしなければいけない時は、優秀な弁護士、司法書士、行政書士を紹介してもらい、スムーズにと手続きを行いましょう。
ジャストM&Aでは、M&Aに関するご相談を完全無料で手続きをしております。仲介にかかる手数料が完全無料ですので、ぜひ一度ご相談ください。