「選択と集中」という事業を整理する経営戦略があります。事業の強みと弱みを分析にコア事業に経営資源を集中させることで、コスト削減や事業価値をアップさせる手法です。
今回は、この「選択と集中」とは何か、メリット・デメリットはどんなものか?などを解説いたします。
選択と集中とは?
選択と集中とは、Selection and Concentrationの日本語訳です。
多種多様な製品やサービスを扱っている企業が、中核となる事業を見極め組織内の経営資源を集中的に投下することで、経営の効率化と競争力の強化、業績向上を目指す経営戦略を指します。
選択と集中は、経営学者であるピーター・ドラッカーが提唱した経営戦略です
経営資源である、ヒト、モノ、カネを有効的に活用するため自社のコアとなる事業に集中的に投下し、それ以外を縮小、委託、売却する戦略です。
選び出した事業をコア事業と言ったりします。
なぜ「選択と集中」なのか?
「選択と集中」は、自社が経営資源を投入する事業を取捨選択することを言います。
つまり、自社のコア・コンピタンスを強化でき、販路の開拓や組織再編などによる効率化などを図ることができ、事業の成功率を高めるられるのです。
一方、どの事業を選択するのか?これが非常に重要です。誤った選択は経営危機を招きます。したがいまして、「選択と集中」はメリット・デメリットがはげしく存在するのです。
選択と集中のメリット
選択と集中のメリットとは、どういったものでしょうか。
1、コスト削減ができる
事業を絞ることで組織内に蓄積された知識やノウハウを集中することができ、効率的な事業活動をおこなうことができます。
そのため、組織がシンプルになり、コスト削減が可能です。長く収益化できなかった事業からの撤退は大幅なコスト削減となります。コア事業の資源を集中させることは、収益性の向上も見込めることでしょう。
2、事業価値が高まる
「選択と集中」をおこなうと効率的な経営ができるようになります。事業価値とは、ある事業で得られる将来的な収益をもとに算出された事業全体の価値のことです。
集中的に経営資源が投入された事業の事業価値はさらに高まり、結果として企業価値、株式価値の向上も見込めることになるでしょう。
選択と集中のデメリット
一方、選択と集中のデメリットとは、どういったものがあるでしょうか。
1、人材の流出
特定の事業に集中すると、人材が適所に割り振られないことがあります。その場合、自主退職などによって人材が外部に流出される可能性が出てくるのです。
また、切り捨てる人材がある場合、リストラしなければならないケースもあるので、優秀な人材を失ってしまいます。
「選択と集中」は、実施後のイメージが共有されないと従業員のモチベーションや信頼の低下を招くでしょう。それらヒトという経営資源に対して「選択と集中」をおこなう際には、リスクがあることを理解した上ですすめる必要があります。
2、従業員や株主からの反発の恐れ
2つ目のデメリットは、従業員や株主からの反発についてです。経営資源を特定事業に集中させるため、従業員の中には反発する者も出てきます。
また、「選択と集中」は短期的に業績を良くする戦略です。中長期的に自社が良くなると考える株主とは考えが異なる恐れがあります。
その場合、反発を招きやすいでしょう。反発する従業員に対して充分に説明をおこない、離職対策も同時に用意しておく必要があります。
経営方針を理解してくれる株主に対しては、新規株式発行や第三者割当増資をおこなうなどの対策などとともに、丁寧な説明で理解を求めてもらう必要もあるでしょう。
3、コア事業への依存
事業を減らすことで、コア事業(主力事業)への依存度は高くなります。そのため、経営の選択肢が狭まり、柔軟性がなくなるというデメリットが出てきます。
「選択と集中」と多角化との違い
「選択と集中」は、多角化経営と異なり、人員削減や経営資源の集中、事業分野の絞り込みなどをおこないます。
つまり、戦略的に決定した特定の事業に経営資源を集中的に投下させることができるのです。
デメリットとしては特定の事業への依存度が高くなるという点です。
どちらの戦略を選択するのか?は、それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、慎重に決定する必要があります。
まとめ
社会構造の変革や景気の動向など、さまざまな理由によって、「選択と集中」は検討されます。選択と集中はデメリットもあるので、よく調査した上で慎重に検討していきましょう。
事業の選択と集中をどのようにおこなうべきか。どのように進めるのが良いかなど、第三者的なアドバイス必要な場合は、M&Aに詳しい会社や専門家に相談するのも良いでしょう。