親族内承継は、さまざまな事業承継の中でも最もよく利用される承継だと言われています。まずは「子どもに継いでほしい」と考えるのは当然あることではないでしょうか。
今回は、そんな親族内承継における気をつけるべきポイント、トラブルをご紹介します。
親族内承継の気をつけたいポイント
まずは、親族内承継について気をつけたいポイントをご紹介します。
時間がかかる
親族内承継をおこなうには、まずは後継者を選び、候補者に了解を取らないといけません。その後、後継者として育成にかかります。
経営者としての手腕は、知識や経験、性格などから少しずつ形成されていきます。一朝一夕で身につくものではありません。
候補者に経営者としての資質が備わっていない場合もあり、育成に時間がかかります。
また、それとともに社内や取引先にも周知し理解を求めなければなりません。もし他に相続人がいる場合は、その調整も必要でしょう。
まだまだ「引き継がなくても大丈夫」と考えていると、あっという間に時間が経過してしまいます。
どれくらい時間をかけるべきか?
親族内承継において、どれくらい時間がかかるのか?は、一概に言えません。しっかり準備を整えるなら、5年は見ておいた方がいいでしょう。
ゆっくりしていると、時間がなくなってしまう可能性があります。
会社を継ぐタイミングを話し合う
親族内承継をおこなうタイミングを、経営者と後継者との間で話し合っておきましょう。
突然のトラブル回避、お互いの気持ちの確認のために、両者の承継時の期間について認識を合わせておくことが大事です。
後継者の育成には、5年〜10年必要だると言われています。なるべく早く話し合い、準備しておきましょう。
事業が悪化する可能性
一般的に事業が十分な利益を得られて、安定的な状態を保てる期間は、30年〜40年と言われています。
そのため、たった一つの事業しか持たない会社を先代から親族内承継された場合、事業自体の寿命は残りわずかとなっている可能性があります。
相続者は、会社を引き継いだ直後から、事業の変革を迫られます。家業を継いだ直後から、事業の改善や新しいことに挑戦するのは、人によって非常に厳しいと言えます。
場合によっては、新規事業を立ち上げなければなりません。
親族内承継でよくあるトラブルは?
ここではよくあるトラブルのパターンをご紹介します。
子どもの了解が得られない
経営者としては、子どもに会社を引き継いでほしいと期待するでしょう。しかし、子どもはそのように考えていない場合があります。
実際、親族内承継を進めたとき、子どもに断られて候補者がいなくなることがあります。
一般的に親族内において候補者は、1〜2人くらいです。少ない人数の中で、子どもの了解が得られないと、候補者がいなくなって途方にくれます。
子どもと口論になる
経営者から言い出さないうちから、子どもが事業承継を言い出してトラブルに発展するパターンもあります。
すでに子どもが後継者として会社役員で入っているのに、全く事業承継が進まない場合、子どもから気を使って言い出し、経営者が怒って口論になる場合があります。
事業承継に時期はありませんが、お互いにどのタイミングでおこなったらいいか、事前に話し合っておくべきです。
健康状態が悪化する
事業承継の準備が進まぬうちに、経営者の健康状態が悪化。そのため、承継が頓挫するケースがあります。
経営者が途中で倒れてしまっては、せっかくの承継作業が中途半端になってしまい、余計に困ってしまいます。
他の相続人とトラブルに
親族内で承継する場合、後継者でない他の相続人などと相続トラブルにならないよう注意が必要です。
事業に必要な資産を経営者が保有している際に、よく起こります。
万一、経営者が事業承継が進まぬうちに死亡した場合、経営に関係のない相続人に会社の事業資産や株式が相続されてしまうこともあります。
そうなってしまうと、相続トラブルに発展してしまいます。
個人保証が外せない
中小企業では自分の個人資産を担保に入れてることが多いです。その場合、個人保証は外してもらわないといけません。
しかし、そのためには、金融機関の了承が必要ですが、さまざまな理由から保証人の変更を認めない場合があります。
事業承継には、他にも方法がある
親族内承継には、申告なトラブルにつながる可能性があります。そのため最近では第三者の後継者を探すのを見据えて
M&Aによって事業承継を検討するケースも増えてきています。
まとめ
今回は、親族内承継における気をつけるべきポイント、トラブルをご紹介しました。
親族内承継は、他の承継方法と比べて、時間がかかります。そのため、早めに取り組むことが大事です。
トラブル回避や育成、周りの理解を得るために、事前準備をおこない、しっかりと取り組んでいきましょう。