最近では後継者不足により事業承継ができなくなり、廃業せざるを得ない経営者が増えています。後継者問題を解決するには、M&Aによる事業承継が有効な手段です。今回は、M&Aを含めた後継者不足問題の解決策を5つあげ、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
後継者問題の概要
中小企業が直面する後継者問題としては、事業の成長性などには問題はなくても、後継者が見つからないと廃業を決断せざるを得ない中小企業も多く存在します。
後継者不足は国内の経済にも大きな影響が出ます。そのため、国や自治体も後継者問題を解消するための様々な対策を実施しています。後継者不足の現状や、後継者不足の対策方法などについて以下で解説します。
後継者不足の解決策・対策 | メリット | デメリット |
事業引継ぎ支援センターを活用 | ・信頼性が高い | ・M&A・事業承継の実績がまだ少ない |
後継者募集のマッチングサイトを利用 | ・マッチングの機会を増やせる | ・信頼性に不安がある |
親族や従業員に引き継ぐ | ・交渉、手続きがスムーズに進みやすい | ・税金や資金の負担が大きい ・経営者としての適性に不安 |
後継者候補を教育する | ・企業風土に合った後継者を育てることができる | ・教育に時間とコストがかかる |
M&A・事業承継の専門家に相談 | ・案件数、実績が豊富 ・一貫してサポートしてもらえる | ・専門家によって報酬体系に差がある |
①事業引継ぎ支援センターを活用する方法
「事業引継ぎ支援センター」は、後継者問題に対処する目的で、国(中小企業庁)が2011年から各地方自治体に設置している公的な事業引継ぎ支援機関のことです。事業引継ぎ支援センターは各自治体に運営を委任されており、後継者不足に関する相談や後継者人材バンクの利用、M&Aの専門家などの紹介を実施しています。
事業引継ぎ支援センターのメリット
事業引継ぎ支援センターを利用するメリットは、信頼性の高さにあります。事業引継ぎ支援センターは中小企業庁が管轄する公的支援機関であり、後継者を探す相談先として中立的な立場から相談が可能です。
当センターは営利企業とは異なるため、偏った見方でアドバイスされることなく、無料で相談に応じてくれます。また、都道府県ごとにセンターが設置されているため、後継者不足の際に足を運びやすいこともメリットです。
事業引継ぎ支援センターのデメリット
事業引継ぎ支援センターは設置されてからまだそれほど時間が経っていないため、2016(平成28)年時点で8割近くの小規模事業者が知らないと答えています(中小企業庁調査より)。
利用されている件数が少ないため、事業承継のマッチング案件数はそれほど充実していません。後継者探しに悩む中小企業への対応もそれほど実績が豊富とは言えないため、後継者不足に悩む企業側のニーズに応えられるかは今後のM&Aの実績などに委ねられていると言えます。
②後継者募集のマッチングサイトを利用
M&Aのマッチングは、最近ではオンライン上でも行われています。登録するとM&Aサイトのマッチングサービスを受けられるサイトは増えています。
サービスはマッチングまでとなり、交渉からの手続きは自分たちで行う必要があるサイトもあります。しかし、サイトの中には中小規模の企業を取り扱うマッチングサイトや、交渉からM&Aの手続きまでがサービスに含まれているサイトもあります。
後継者募集のマッチングサイトのメリット
M&Aマッチングサイトは、好きなタイミングでM&Aの相手を探すことができます。また、マッチングサイトに登録している他の買い手に自分の企業を見てもらうことができます。
マッチングのチャンスを増やすという面で、M&Aマッチングサイトは優れた機械を提供してくれる場です。
後継者募集のマッチングサイトのデメリット
M&Aマッチングサイトは多くのサイトが存在しますが、サイトによっては信頼性に欠ける案件に遭遇するリスクがあります。特に、個人が持つ事業を売買する場合は、会社よりも信頼性に欠ける場合が多く、事業内容を調査していないと損をしてしまうリスクが高くなります。
M&Aマッチングサイトに登録する場合は、M&A仲介なども手掛けている実務面での信頼性の高いサイトを選ぶと良いでしょう。
③親族や従業員などの後継者に引き継ぐ
子どもに事業を継がせることができなかった場合、他の親族や従業員に事業を引き継いでもらうことで、後継者問題を解決できるかもしれません。
親族や従業員などの後継者に引き継ぐメリット
親族などの顔見知りであれば条件面での交渉をしやすいため、事業の引き継ぎがスムーズに行えるというメリットがあります。また、M&Aも面倒な手続きをせずに簡略化できるケースがあり、短期間でM&Aをすることができます。
会社の従業員に事業承継する場合は、会社の業務内容に精通していることから、引き継ぎの期間を短縮することができ、社内の教育コストも抑えられます。
親族や従業員などの後継者に引き継ぐデメリット
親族同士で事業承継をすると、相続税や贈与税の負担が通常より大きくなり、後継ぎになる者が事業を買い取る際に大きなコストを払う必要があるため、資金面でのデメリットがあります。
事業承継時には税務上の特例が設けられているため、これらをうまく活用すれば税金対策が可能ですが、税務上の特例を活用するには専門家からのサポートが必要で、時間もそれなりにかかります。
また、従業員への事業承継にもリスクがあります。従業員としては優秀であっても、経営者としての資質はない場合があるのです。その結果、社内の他の従業員や取引先との関係が崩れてしまう恐れがあります。また、後継者は経営者としての危機感に乏しいこともあり、すぐに交代してしまう恐れもあります。
④後継者候補を養成する
親族や社内の従業員でも後継者問題が解決できない場合は、外部から後継者候補をヘッドハンティングして後継者候補として養成することもできます。
後継者候補を養成するメリット
後継者候補を選んで教育すれば、会社内の業務内容や社風に合った人物をリーダーとして養成し事業承継できるので、事業の継続やグロースに良い効果があります。
また、教育期間中に自社の理念や経営方針もインプットすることができるため、企業風土も保つことができます。後継者候補を教育している期間は、社内の従業員や取引先も後継者を挟んで新たに関係を築けるので、円滑な事業承継への道筋を立てることができます。
後継者候補を養成するデメリット
後継者候補が何人かいた場合、後継者同士で争いが起きる恐れがあります。また、後継者候補の養成は時間が必要で、スキルを身に着けるために様々なコストが必要なため、社内のリソースをある程度割いてしまいます。
⑤M&A・事業承継の専門家に依頼する
後継者不足を解決する方法として、M&A・事業承継の専門家への相談、依頼という方法があります。M&A・事業承継の専門家は、M&A仲介会社、M&A・事業承継を支援している金融機関、M&A・事業承継を支援している会計士や税理士などです。
M&A・事業承継の専門家に依頼するメリット
M&A・事業承継の専門家は信頼性の高いネットワークを持っているため、後継者不足に悩んでいる際、適切な相談役となってくれます。事業を引き継ぐ先として最適な候補を紹介してくれることが期待できます。
また、M&A・事業承継の煩雑な手続きもサポートしてもらえるので、トラブルになるリスクを抑えることが可能です。
M&A・事業承継の専門家に依頼するデメリット
M&A・事業承継の専門家に相談、依頼した場合、場合によっては仲介手数料が高額になり予算を圧迫することがあります。報酬は業種や相談先によって大きな差があるため、依頼する前に報酬体系を確認することが必要です。
また、専門家によっては都合の良い相手を紹介される恐れもあります。依頼する専門家が中立な立場で対応してくれるかは、しっかり見極める必要があります。
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