M&Aにおける買収とは何でしょうか。
M&A、つまり企業の合併や買収をおこなう時、合併や買収のどちらを選択するか決断する必要があります。
M&Aの成功を評価することは困難ですが、成功すれば、さまざまなメリットがあることも間違いありません。
今回は、企業のM&A、合併と買収のうち、買収について分かりやすく解説します。
会社の合併との違い
合併と買収の違いとは何でしょうか。会社合併と会社買収は、混同されやすい手法ですが、明らかな違いがあります。
会社合併は、2つ以上の会社が統合することで、会社買収は、自社以外の会社を買収することです。
会社合併の場合、一つの会社は消滅することになり、2つの会社が1つの法人格を持つようになります。消滅した会社の資産、負債、権利などを全て、承継します。
会社買収の場合、買収される側の会社は消滅しません。子会社やグループ会社として、存続します。
M&Aとの違いは?
M&Aとは、日本語で合併と買収の意味を指します。英語のMerger(合併)とAcquisition (買収)の頭文字をとった略語です。
つまり、M&Aと会社買収は、同じような意味合いに思えて、合併も含まれたM&Aのほうが広義の意味合いを持つこととなります。
それでは、M&Aのうち、買収とは一体どのようなものでしょうか。
買収とは?
M&Aにおける買収とは、他の企業を支配する目的で、株式の過半数を買い取るという意味を指すことがほとんどです。
原則としては、過半数の株式を獲得すると、子会社となります。
さらに、株式の3分の2以上を獲得すれば、特別決議による決定事項を含めた、ほとんどの経営権を掌握することができます。
そのような買収には、2つのタイプがああります。それが、「友好的買収」と「敵対的買収」です。ちなみに、日本でおこなわれるM&Aのほとんどは、友好的買収です。
株式を公開していない中小企業が多い日本では、オーナーの意向を無視した敵対的買収はなかなか起こりづらいのが現状です。
友好的買収とは?
友好的買収とは、買収者が経営陣の賛成を得て、対象会社の買収をおこなうというものです。
友好的買収は、対象会社経営陣の協力が得られます。TOBなどの敵対的買収とは異なり、手法が限定されません。
会社分割、株式交換など、対象会社との話し合いによってスキームを検討することができます。
株式を公開していない日本の中小企業のM&Aのほとんどは、この友好的買収に該当するでしょう。
買収者をパートナーとして受け入れて、中核を担う従業員がモチベーションを保って働いてもらう友好的買収は、買収後も会社が安定して経営しやすいと言えます。
敵対的買収とは?
敵対的買収とは、対象となった会社の経営陣の意向に沿わない買収者が、意に逆らって買収することをいいます。
たとえば、TOB実施して、対象会社の株式を買い付けたりして、経営権の取得を目指したりします。
上場会社の株式は、経営陣の意向に関係なく、株主と買収者との合意によって買収できるものなので、この敵対的買収が成立する可能性があります。
買収が好まれる要因
買収によって、企業価値が増加する要因があります。理論上は、下のようなものが考えられています。
・シナジー効果
・効率的な経営
・事業企業の拡大
・エリアの拡大
・経営資源の共有化による、収益性の改善
まとめ
後継者不足などからM&Aを注目されている日本において、企業の買収は、必要不可欠な手法です。
しかし、リスクの高い買収は、経営が傾く諸刃の剣でもあります。
そのことをふまえ、買収のプロセス、手法を検討し、買収後のシナリオや目的を考えていくことが重要となります。